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態度と配慮~北原さんからのメール。[Attitude and consideration~Mail from Mr. Kitahara. ] 


2009.02.07(Sat)

たくさんの論点をひろいあげたいところですが、今日は「態度と配慮」ということばからはじめたいと思います。
まず「態度」ですが、これは大木さんが使う「選択」ととても近く、また、おおいに関係するものだと思います。大木さんのことばを引きます。
「撮影というのは常に選択です。(どの部署でも変りませんが)上に立つ者ほど究極の選択を迫られます。その決断が正しく出来る人だけがキャメラマンとして残っていきます。」
選択をするというのは、まさに「態度」を表明することにほかなりません。そのひとつひとつの選択が、そのひとの「態度」を形作るのであります。すなわち「態度」の問題とは、どんな選択をしているのかを自らに問う所作なのです。そしてそれはある判断の彼岸、価値の基準をつまびらかにすることになります。そのとき、一体何をもってその選択に臨んだのか、何に心をくだいたのか、いかなる風に感じ、考えたのか。ぼくが「配慮」ということばを使うのはこの領域における事柄なのです。
「矜持」はこのふたつのことばと不可分です。もちろんすべてのキャメラマンにそれぞれことなった矜持があると思いますし、それに正解を求めるたぐいのものではないでしょう。しかしだからこそ、キャメラマンばかりでなく、すべての撮影にかかわるそのひとりひとりに、その「態度と配慮」を問いたいし、ぶつかりあってみたいと思うのです。現在、ハード面などの技術の変化とともに、制作現場のパラダイムシフトを、ぼくたちは身をもって経験しているわけです。ふたたび大木さんのことばを引いてみます。
「技術者であるということは、結局のところ、現代においては、コストパフォーマンスと不可分な存在では居られません。」
シフトした先は、この「コストパフォーマンス」なるものが、露骨に前面に押し出された場所です。それは確かに大切なことと思いますが、「態度と配慮」が照射するのがそこにしかいたらない、あるいは「制作する=つくりだす」行為を押しのけてまでのプライオリティが与えられるのは、いかがなものかと思います。故人となった淀川長治さんは、ただただ「映画をお金もうけの道具にしないでほしい。」と訴えていました。実存主義的に「何が」「何に」先立つのかと内省するとき、このことばはぼくのなかではとても有効で、「態度と配慮」をめぐる大きな基準となっています。『アラビアのロレンス』をテキストにして、大木さんはこういっています。
「あの当時、F・ヤングとN・ローグに躊躇があったかどうか。コスト面では然程なかったと推察しますが、他の面に関して言えばやはりそれはあったと思います。(例えばあの当時のカメラの大きさ重さなど考えたら砂漠での撮影自体を躊躇しますよ)それでもあの砂漠であの引き画を撮ったということは、制作に拘った人々がそれをすべき理由を見つけたからです。」
60年代初頭から今にいたって、撮影というものが見失ったもののひとつが、この「制作に拘った人々がそれをすべき」と考えた「理由」なのではないかと思います。ご存知の通り、撮影という映像制作の現場は、実に多くのひとの力が必要であり、かかわるものであります。それだけのひとたちが考える「すべき理由」、それだけのひとたちや力を動かすだけの「すべき理由」を、コストパフォーマンスをのぞいた「どこ」と「なに」に見いだすのでしょうか。目の前に大きな技術変革があるからこそ、それに挑むだけの「態度と配慮」を明らかにしなければならないと考えるのです。

category: 【オープンルーム】Bulletin Board

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