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『ゼロ・グラビティ』"Gravity" 


2013.12.20(Fri)

gravity

 宇宙に出るということは限りなく“神”に近づくということなのかもしれない。実際、宇宙飛行士の何人かは帰還後、牧師や宗教家になっている。無重力、無音、無限の空間に独り放り出されたなら、否応無く、自分と向き合わざるを得なくなるに違いない。その“外観”とは裏腹に、観終わった後に哲学的な印象が残るのはそのせいだろうか。至る所に『2001年宇宙の旅』へのオマージュがちりばめられているのも、その印象を後押ししているようだ。
 それにしても、どうやったらこんな途轍もない作品が出来るのか。キュアロン監督は『トゥモロー・ワールド』でも驚くべきプラスセカンスを見せてくれたが、それを遥かに凌駕する本作の縦横無尽なカメラの動きはカット割りやマルチカメラシステムという伝統的な映画手法を完全に破壊してしまった。宇宙空間に放り出された二人とともにカメラもまた重力から解放されたかのようだ。大ロングからクローズアップ、更にはPOVまで途切れなく連なる映像の凄さ。そして予測不可能な連鎖が緻密な計算から生まれていることに驚愕する。世界は初めて3Dで撮られるべき作品に出会った、と言っても言い過ぎではないだろう。キュアロンは3Dに付きまとっていたフォーカスをはじめとする視線の誘導の問題に明確な回答を導きだした。
 物語は至ってシンプルである。登場するのはほぼ二人だけ。だが一瞬たりとも目が離せない緊張感、臨場感、そして美しいシーンの連続であっという間に90分余が過ぎて行った。もっと観ていたいと切に思う経験など滅多にあるものではない。我々は、寄る辺何ものもない空間に投げ出された人間の恐怖、寂寥、孤独、絶望を、主人公とともに、経験する。そして浮遊し漂流した末の重力の有り難みを感じるはずだ。「諦めることも憶えるべきだ。」と言ったすぐ後でガンジス川の夜明け(!)に感動するのが人間という生き物なのだろう。ラストシーンのアイディアがまた素晴らしいではないか。広大な宇宙空間で胎児となった人間が再び重力を得て屹立する。進化論!キューブリックへのキュアロンからの回答である。原題はあくまでも『重力』なのだ。
 撮影はキュアロンの盟友、エマニュエル・ルベツキ。そのライティングの素晴らしさも特筆されるべきであろう。

category: 映画のはなし About Movies

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