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進め、一億、オリンピックだ!【No.234】 


2013.09.09(Mon)

 49年前、僕は小学生だった。国を挙げての熱狂、町のそこかしこはオリンピック一色だった。国家的な大事業であるオリンピックを子供たちにも見せるべきだと、学校の教室には急遽、テレビが備え付けられた。テレビ中継に熱中する級友もいるにはいたが、僕の場合、白黒テレビの小さな画面に映し出された各種競技のどれかでも覚えているかといえばそんなことはない。中継の間は自由時間の様なものであったから、ぼんやりとほかの事を考えたり、いたずら書きをしたり、友達とふざけ合ったりしていた。父が新幹線の架線の設計者だった事もあり、オリンピックの前年、僕たち家族は新潟から横浜に移り住んだ。国鉄(今のJR)官舎は新たに建設されたものだった。同じように地方から呼び集められたいくつもの家族が同時期にそこで暮らし始めた。おそらく同様の事が東京近郊の各所で起こっていただろう。急速に都市環境が整備され、新しい町が出来、人口が増える。未来はすこぶる明るかった。
 オリンピック自体の意義やスポーツの効用を全く否定するものではない。だが今の時点で、2020年の開催決定を手放しで喜ぶ事が出来ない。1964年と2020年、この56年間の隔たりは単に時間的なものに留まらない。49年前の東京から見れば、現在の東京は未来都市そのものであるし、さらに後7年経ったなら、このメガポリスがどのように変質・変貌を遂げているか想像すら出来ない。都市の変化は人にも変化をもたらす。素直にスポーツの意義を信じていられた人々の心もまるで違うものになっているだろう。僕が容易に想像できる事といったら、かつての白黒テレビの役割が4K、8Kの高品位テレビヘと取って代わるだろうということだけだ。アナログ放送からデジタル放送へと変わった時と同じように、政財官の肝いりで、我々はまた高額な負担を強いられる事ことになる。
 高度成長期の資本主義とは明らかに違う、別種の資本主義が進行している。かつては普く人を豊かにしたシステムは、富める者は富み、貧しい者は更に貧しくなっていくようなシステムへと変貌し、この先、それはますます強固になっていくだろう。先進国において資本主義は既に終焉を迎えたのだろうと思う。旧態然としたスクラップ&ビルト方式で世の中が潤ったのは遥か昔の事なのだ。グローバリゼーションは人を不幸にし、国を疲弊させて来た。打ち上げ花火は打ち上げ花火。その効果は一瞬で消えていく。歴史センスを持たない愚鈍な者どもの掌中に権力がある限り、オリンピックによって国民全体が幸せになるという絵図は幻想に過ぎない。オリンピックをここ東京で開催する意義はあらかじめ失われているのではないかと思うのだ。
 問われるべきは、国家的大義名分の元で人々に課せられるであろう様々な規制や負担と、オリンピックを目眩しとして進行する政治的な企みのことでなくてはならない。今現在、何が企てられているのか。これからどのような事が進行していくのか。それを監視しその意図と影響を明らかにすべき大手新聞社やTV局などのマスコミは既に機能していない。つまり我々は目を塞がれているに等しい。
 2020年東京オリンピックが先の戦争の「進め、一億火の玉だ。」の大号令と同じ役割を果たすのではないか。僕は今、そんな恐れを抱いている。杞憂だ、と人は笑うかもしれないが、ここのところの世の中の動きが僕の癇に障るのだ。嫌な予感がするのだ。

category: 日々是好日 Days

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