10/ 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30./12

『ノルウェイの森』"Norwegian Wood" 


2010.12.15(Wed)

実のところ、わたしは原作を読んでいない。原作に何ら思い入れはないのだから本を読んだ人よりは幾分素直に映画を映画として判断出来るかもしれない。尤も1000万部という驚異的なベストセラーになった作品であるから大まかなあらすじは知っていたし、そこで展開される村上春樹的世界は何となく想像はできていた。
とまれ結論から言えば、何とも残念な作品であった。スタッフやキャストは夫々が素晴らしい仕事をしているにも関わらず、ひとつとして私の心を動かすことはなかった。決定的に何かが足りない。映画作りは本当に難しい。おそらく、他の作品を読む限り、村上春樹の描く世界は映像には絶対的に不向きなのだろうと思う。
わたしが大学に入ったのは学生運動がほぼ沈静化していた頃だが、それでも各所では未だ往時の熱気のようなものは残っていたから、本作があの時代の空気をよく再現していることはよく分る。だがそこで描かれる、例えばワタナベ(松山ケンイチ、悪くない)にしても直子(菊池凛子、巧い)にしても、彼らが抱える痛みがまるで伝わってこない。悪いけれど擦れっ枯らしの中年オヤジは瘡蓋剥がしたり鼻水垂らしたくらいじゃ共感出来ないのである。おそらく原作ではもっとしっかりと書き込まれていたに違いないレイコ、永沢らの人物像も画面からは唐突な印象しか受け取れない。緑(水原希子、新人には荷が重かったかな)も同様である。どの人物にも感情移入出来なければ、それを傑作と呼ぶことは難しい。
李屏賓のカメラワーク(福本淳さんのクレジットもあり)は相変わらず流麗で美しい。中村裕樹さんの造り出す光もまた美しい。早朝の草原で交わされる直子とワタナベとの会話は5分以上にも及ぶ長回しである。それと呼応する雪降る夜のデパート屋上(?)での緑とワタナベとの遣り取りも同様の長回し。療養所の直子から初めて受け取った手紙を手にワタナベが階段を駆け上がるショットは彼の悦びが素直に写し取られていて好い。Viperというデジタルカメラ(日本には入っていないが、007シリーズなどはこれを使っていた)で撮影されたそうだ。監督とキャメラマンの出身地のせいだろう、日本の話なのに何処か東南アジアっぽい空気感が面白い。

ミク友のリクエストで本当に本当に久しぶりで長い文章を打ってみた。やはり思うようには書けんな。

category: 映画のはなし About Movies

trackback(0) | comment(2) | 記事編集

go page top

« 『海炭市叙景』  | h o m e |  久しぶりのエントリーがライブの告知。 »

コメント


まだ見ていないのですが、見てみようと思います。大木さんの映画評は楽しみなので、ぜひたまには書いてください。
【2010/12/15 23:04】
URL | mikio hasui #l4EZtc/. *編集*

恐縮です。
【2010/12/15 23:56】
URL | sumio #- *編集*

go page top

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://cinemato.blog23.fc2.com/tb.php/279-d8809416
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top

FC2 Blog Ranking