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靴の作法。[Manner of shoes.] 


2010.02.13(Sat)

ズック靴の踵をつぶして履いていると親によく叱られた。若い頃というのは、殊更、悪振ったふうが魅力的に映るものである。そうやって履いているとちょっと悪く(強そうに)見える。だからそれを真似て粋がってみせるが、どちらかと言えば、急いで表に出る時いちいち足を靴の踵に合わせるのが面倒くさいだけの事だった。靴の踵をつぶして履くな、という戒めには二重三重の意味が含まれている。ひとつ、靴が駄目になる。ひとつ、しっかりと歩くことが出来ない。ひとつ、だらしなく見える。そしてもうひとつ。何よりも道具にはそれなりの意味と使い方があるのだという事だ。
靴は本来歩いたり走ったりする為の道具である。一度踏みつぶしてしまえば靴そのものが持つフォルムは失われる。歩く為に作られたフォルムなのだから、それが崩れれば本来の目的からも外れる。踵を踏みつぶして履いていれば歩き辛いことは誰でも知っている。歩き辛ければ姿勢も崩れて来る。ズルズルと足を引き摺って歩く姿は余り恰好が良いものではない。何より危なっかしい。
新しい靴を下ろす時にはあらかじめ靴墨を塗っておく。新しいスニーカーなら一度水洗いをしておく。革靴なら一度履いたら新聞紙を突っ込んで湿り気を取っておく。ズックならこまめに洗う。靴のメンテナンスや靴ひもの結び方など、靴の作法を教えてくれたのは父だった。靴はその人の人となりを表す。そんな格言めいた事は一言も言わなかった父だが、靴を丁寧に扱う事の大切さは充分に教えられたように思う。
靴に限らず、道具というのは本来の使い方をしなければ、大概は、役に立たないか余分な労力を必要とする。(作った人の想像を超えて新しい使い方が発見される事もあるがそれは別の話。)何よりも正しい使い方が理に適っている。踵を踏みつぶして靴を履くなどはもっての外である。正しい使い方といっても何も難しい事ではない。それを丁寧に扱えば良いだけである。だがそのことが解るのは父に道具の扱い方を教えてもらったからだ。道具ひとつ扱うにも教養は必要である。そしてそれを教えるのは先人の努めである。
オリンピック選手のひとりが選手団の制服を着くずしして顰蹙を買ったらしい(腰履きが着くずしと言えるかどうかはまたまた別問題だが・・・)。制服だって同じことだろう。その意味する事を教えてもらっていなければどう着ようと勝手だろう、てなものである。丁寧さを学んでこなかった若者の無知を笑う事は出来ない。

category: 日々是好日 Days

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コメント


着崩すとは、そこに制度や体制に対する反抗や自己主張の結果であるべきで、黒人文化がそうやって生み出したスタイルを、単純にまねる事の情けなさを感じてもらえたらいいなあと思いますね。
【2010/02/16 22:07】
URL | m.hasui #- *編集*

彼個人の事はどうでもいいんですが、日本の社会全体がモノゴトを深く考えられなくなっている事の現れのような気がします。これが一番怖い。
【2010/02/18 09:01】
URL | sumio #- *編集*

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