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リアリズムについて~木下さんからのメール。[About realism~mail from Mr.Kinoshita.] 


2009.01.25(Sun)

当ブログを開かれたものにしようとする試みに応えてくれる形で、奇特な方(笑)からメールを頂いた。木下容宏さんという撮影部で、最近米国に渡って頑張っているとのこと。先ずはそのメールを読んで頂きたい。

初めまして。木下容宏と申します。
大木さんのブログは、度々拝見させて頂いてます。
突然で恐縮なのですが、『リアリズム』について、大木さんはどう解釈されていますか?
撮影する際によく、『リアルに・・』『自然な感じで・・』、などの言葉が使われますが、あまりにも頻繁に使われていて一体何がリアルで何が自然なのか、言葉に実が伴っていない事がよくあります。僕はリアリズムとは目に見えるものの中にあるのではなくて、ある作品を、観た、想像した、その人の理解の中にあるんだと思います。そのとき、観る側が自分の現実に重なり合うものをその作品の中に見たならば、その人にとって素晴らしい作品になるでしょう。
『キリングフィールド』を見直す機会がありまして、僕は中学生の時にこの作品をビデオで100回くらい観て、なんちゅう恐ろしい話やと思ったんですが、当時は実際に戦争中のカンボジアで人々が苦しみ、死んでゆく姿をカメラでそのまま撮影しているんだと思っていました。そして今また観てみますと、作品が力を持っているという印象は変わらずあるのですが、その制作方法は当然、劇映画の方法です。演出、芝居が過剰な事や、カメラが劇映画的で美しく、ずいぶん当時の印象と違うぞと、思ったのですが、しかしながら、意図的なコンポジションの中の美しいカンボジアの風景や、雨の日の湿度ある美しい作られた光は、少年が世界を理解することに貢献していたと思います。この話が実話であろうと無かろうと、作品の持つ力に変わりはなく、リアリティーとはこういう事なのかもしれないと思った映画でした。
ガザで、スーダンで、世界中で日々困難にさらされている人々がたくさんいます。その現実の前にリアリズムも、撮影業もへったくれもないかと思う事もあります。でも、映像という商品は、世界の現実への想像のきっかけになる可能性かあることだけは、間違いないと思います。
一方、少し前の作品、『プライベートライアン』などは、実際従軍した元兵士にも”あの通りだった”と言わせるほどに、本物のように撮影されています。しかし、作品の内容が破綻している為に何のリアリティーも持っていません。『No Country for Old Men」もそうでしたが最近、いわゆるリアルだけど、映画通にだけ評価される夢も希望も無い後味の悪い作品が多い。子供が飢えたり、紛争で殺されているのに、何の関係もない所でのいわゆる”プロフェッショナル”の自己完結に過ぎません。
DPは職人だから、その撮影技能、技術は柔軟性を持っていて、世界を美しくみせる事も出来るし、醜くみせる事も出来る。それも形や色、光などの表面的なものでしかないのですが。醜いものなどイヤというほど毎日見ているじゃないですか。人間として美しいものこそ創作する価値があります。
エライ仕事に僕も関わっているんですが、大木さんのご意見をお聞かせ頂ければ、幸いです。

おそらく私より十四、五歳は年下だろうが、映像について、世界について実に真摯に考えている。尤も、そうでなければ辛どい思いをすることが分かりきった本場にまで渡らないだろう。こういう人たちがいてくれることが何よりも心強い。だがひとりで考えていてもその考えは決して広がっていかない。そんな時、当ブログが、多くの人達の議論する場になってくれれば良いと思う。勇気を持って投稿してくれた木下さんに感謝する。
すぐに返信メールを送った。そして木下さんからも返事を頂いている。そのメールは明日・明後日にでも公開しようと思う。

category: 【オープンルーム】Bulletin Board

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