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リアリズムについて~木下さんへのメール。[About realism~mail to Mr.Kinoshita.] 


2009.01.26(Mon)

木下容宏様。初めまして。
読んで頂いて恐縮です。米国でご活躍とのこと、競争の激しい社会に飛び込んでいく勇気を持てなかった私としては海外で仕事をされていると聞いただけでも感服してしまいます。
さて、木下さんがメールに書かれていることは私も常々考えていることですが、未だにこれだ、という結論には至っていません。突き詰めて考えていくと結局、それをリアルであると感じる力というのは各人夫々であるとしか思えません。白塗りにしか見えないチャップリンの表情に妙な艶かしさを感じます。ヒッチコックの『鳥』を観て以来、僕にとって鳥は気味の悪いものです。小津の映画に出てくる人物は誰も木偶人形のようですが、なるほど自分も気が付くとおうむ返しに喋っていたりします。
そもそも映像は現実をなぞったところで現実にはなり得ない。しかし、そうだからと言ってそのことをお座なりにしてしまっては映像自体が成立しなくなる。リアリズムというのはその程度のことではないかと考えることがあります。リアリズムだけを抜き出して語ることは、物語を読み違える危険を孕むのことにならないでしょうか?表現とは現実の模倣でしかない。巧く模倣しようとしても取りこぼしたりデフォルメしてしまったり、その歪さが表現としての力を持ち得るのではないかと思います。
『キリング・フィールド』の持つ圧倒的なスケールや美しい撮影がそれをリアルなものにしているかと言えば私自身は疑問に感じますが、カンボジア人助手を演じた役者さん(名前を忘れてしまいました。彼は何者かに殺されたのですね。)の演技は、演出のあざとさとか西洋人が持っている揺るぎない偏見を越えて、胸に迫って来ます。彼が現実に体験したことが彼の演技を演技以上のものにしたのだと思います。『プライベートライアン』は部隊が上陸するまではもの凄い臨場感で観ていて何度も首を竦めたものです。その後の展開はあの迫力の後ではいかにも尻すぼみでした。けれどあの後のグダグダな感じも、実は僕(ら)が知らないだけで実際には戦場は“あの程度”だったのかも知れない。何故なら人間はずっと緊張していることは出来ないからです。
映画は時代を映す鑑だとはよく言われることですが、つい最近のファンタジーブームなども息苦しい現実の反映でしょう。コーエン兄弟の『ノーカントリー』のリアルさはまさに現実がそのようにあるからです。シガーは映画史の中でも記憶に残る“モンスター”と言えますが、それは紛れもなく現実が彼以上に恐ろしいからに他なりません。
現実に起こっていることに対して映像は無力です。映像のみならず、文学も音楽も、芸術と呼ばれるものは何の実効的な力を持ちません。だからと言ってそれが無駄なものだとは決して思いません。人は“息抜き”をしなければ生きていけないのです。その表現行為はいろんな形があっていい。美しいものも醜いものも、おぞましいもの、下劣なもの、幽かなものも、そのどれも存在しているからこそ世界は美しいと言える。自分にとって美しいものが、万人にとっても美しいものだと誰が言えるのだろうか。自分にとっては下らないものも、ある人にとってはかけがえのないものだったりします。
結局、僕(ら)が出来ることは自分が最良であると思うものを提示することでしかないと思います。それは決して自己満足と言って切って捨てることは出来ないものです。そしてそれが僕(ら)に与えられたResponsibilityなのだと考えています。

category: 【オープンルーム】Bulletin Board

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